マッチのレッテルに大正ロマンを求めて

燐票コレクション

燐票年表 3

マッチラベルの商標登録

明治17年(1884) 6月『商標条例』が公布。マッチラベルの商標登録が始まる。
その制度では、51類「擦附け木」に分類され、公式にはマッチではなく擦附け木と呼称されていた。(現行の区分では第27類たばこ、喫煙具、マッチ)もともとマッチは商標によって取引されていたが、輸出の伸張にともなう粗製濫造と粗悪な類似ラベルが増え、市場の混乱と信用の失墜、輸出の激減を招いた。そこで商標登録や同業組合の結成等により品質の改良に努め、再び輸出量は飛躍的に増大した。
寝獅子
《寝獅子》
明治18年登録
マッチ商標登録第1号
赤鷲
《赤鷲》
明治18年登録
マッチ商標登録第2号

清燧社製 米国のゲ−ルボ−デン社の鷲印ミルクの商標“イ−グルブランド”を置き換えたといわれている

飛竜
《飛竜》
明治20年登録
象ベスト
《象ベスト》
明治22年登録
(宮内省献上マッチ)
竜門
《竜門》
明治23年登録
双黒奴
《双黒奴》
明治23年登録
猫鼠
《猫鼠》
明治24年登録
燕
《燕》
明治24年登録

南方への輸出向けとして渡り鳥を意図したもので現在も販売されている

白桃
《白桃》
明治25年登録
士人
《士人》
明治25年登録
兜
《兜》
明治26年登録
苺
《苺》
明治28年登録
猴福
《猴福》
明治31年登録
月琴
《月琴》
明治33年登録

中国香港比島で圧倒的人気を得ていた

鹿車
《鹿車》
明治37年登録
三象
《三象》
明治37年登録
馬蹄馬
《馬蹄馬》
明治37年登録
日光菊
《日光菊》
明治42年登録

明治天皇に献上された第3回献上マッチ。 最初の献上マッチは清水誠の新燧社製。 2回目は前出の《象ベスト》

馬蹄美人
《馬蹄美人》
明治42年登録
美人
《美人》
明治43年登録
獅子童
《獅子童》
明治43年登録
四君子(竹)
《四君子(竹)》
大正2年登録
日出鶴
《日出鶴》
大正2年登録
牡丹
《牡丹》
大正2年登録
カーネイション
《カーネイション》
大正2年登録
BUSHELLS
《BUSHELLS》
大正4年登録
曲馬
《曲馬》
大正5年登録
マッチ
《マッチ》
大正7年登録
芸者
《芸者》
大正11年登録
ヴァイオリン
《ヴァイオリン》
大正12年登録

燐票商標誌《錦》第16号(大正11年5月30日発行)より

鶏象
46 《鶏象》
五蝙蝠
47 《五蝙蝠》
丸山双獅子
51 《丸山双獅子》
登録制度が施行後も、欧州品や売れ筋の模倣・類似ラベルは横行していた
明治20年(1888) 『国益』という文字が流行した。マッチラベルにも、牛肉の広告にも国益の二字がつけられた。しかし翌21年には国益に代わって『帝国』が流行し始めた。明治30年代には『改良』が流行語になったが、それは新しい工夫があるという意味合いである。
いろは
国益
帝国一
改良品
明治26年(1893) 日本郵船のボンベイ航路開設によりインドという大市場を得て、輸出マッチの黄金時代が始まる。
明治27年(1894) 日清戦争で、それまでの輸出マッチの華商による独占が崩れ、日本の業者が自己の商標で輸出出来るようになった。